最近、高齢者の住宅問題がTVでよく取り上げられていますね。
わたしが観た番組では、賃貸住宅に住んでいる高齢のおばあさんが、アパートの建て替えで立ち退きを迫られ、次の住まいを探すものの、不動産屋さんから断られ続けるといった内容でした。
しかし家がかなり老朽化しており、あちこち補修が必要になり、見積もりを取ったところ、かなりお金がかかることがわかりました。
補修のために老後資金を取り崩すなら、いっそ売れるなら売って、賃貸へ移ろうかという話になりました。
ただ80歳を超える両親の不安は、この歳で賃貸物件が借りられるのかということでした。
そこで80を超える高齢者が、新しく賃貸住宅を借りられるのか調べてみました。
同じような悩みをかかえておられる方も、いらしゃると思いますので、この記事が参考になれば幸いです。
Contents
老後の住まい現状(高齢者は持ち家比率が高い)
内閣府の「平成30年版高齢社会白書」では高齢者の夫婦のみの世帯の持ち家率は87.2%で高齢者単身世帯の持ち家率は65・6%となっています。
高齢の夫婦に比べ、高齢の単身者は、持ち家率が低くなっているため、住宅問題は切実です。
今後、高齢の単身者が増えてくるので、高齢者の持ち家比率もさらに低下してくでしょう。
大家さんが高齢者に貸したがらない理由
そもそも大家さんが、高齢者に家を貸したがらない理由は、高齢者の身体的な問題と経済的な問題が考えられます。
具体的にみていきましょう。
高齢者は、孤独死するかもしれない
40、50代でも孤独死でなくなる方も多くいらっしゃいますが、高齢者で一人暮らしの場合、その可能性がより高くなります。
ご夫婦でも、年齢を重ねれば重ねるほど、伴侶が亡くなって一人暮らしになってしまう可能性が高くなるので同じことです。
事故物件の定義はあいまいなので、すべての孤独死が事故物件となるのかは定かではありません。
事故物件と定義されてしまうと、一定期間、家賃を値下げるなど大家さんにさらに負担がかかります。
大家さんが、なるべく高齢者に貸したくないのは、理解できるところです。
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高齢者は、家賃が払えなくなるかもしれない
十分に資産がある高齢者なら、問題ないですが、そういう方は持ち家、あるいは高級老人ホームなどに入っておられるでしょう。
賃貸物件を探している高齢者は、一般的には収入が年金だけで、貯蓄を取り崩して生活されている方が多いので、何かあって家賃が滞る事態も想定されます。
高齢者は、火の不始末があるかもしれない
ストーブや湯沸かし器などで火の不始末があれば、火災保険があるとはいえ大家さんは、賃貸物件という経済的な基盤を失うことになります。
高齢者は近い将来、認知症になるかもしれない
内閣府が出している「高齢社会白書」によると、2025年には高齢者の5人に1人は、認知症になると推計しています。
最初に借りたときは、認知症でなかったとしても、年数が経過するうちに、発症するリスクも高くなります。
高齢者が賃貸物件を借りるために
冒頭でも書いたように、高齢者でも、賃貸物件を借りることは可能です。
但し、いくつかの条件があります。
高齢者で年金やそれ以外の収入がある方や、1年分の家賃が前払いできる方ならUR賃貸で住居を借りることができます。
年間収入が家賃の48倍か、家賃1年間分前払できるならUR賃貸
URとは、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構[ユーアールとしきこう])のことです。女優の吉岡里帆さんがコマーシャルをしているので、ご存知の方も多いと思います。
UR賃貸のメリットは、民間の賃貸契約では絶対に必要な礼金などのお金と保証人がいらないことです。
- 礼金不要
- 仲介手数料不要
- 更新料不要
- 保証料不要
- 保証人不要
- 入居条件に年齢による制限なし
年収が家賃の48倍(月収が家賃の4倍)
まず家賃の48倍以上の年収があれば、保証人なしで、URで賃貸物件を借りることができます。
1年分家賃を前払いする
1年分の家賃を前払いすれば、年間の収入が家賃の48倍以上なかったとしても、URで賃貸物件を借りることができます。
2年目からは、家賃を月払いにすることが可能です。
家賃の48倍以上の年収がある親族名義で借りる
3親等以内の親族に家賃の48倍以上の年収がある方がいれば、その方の名義で賃貸物件を借り、高齢者が住むことができます。
ただし親族がURに住んでいる場合、自分と追加で借りる家賃の48倍の年収が必要です。
収入が少なく、貯蓄も少ない場合
UR賃貸の条件である年収が家賃の48倍か家賃1年分の前払いができない場合は、地方自治体の住宅制度を利用を考えるべきです。
たとえば、収入が年金だけの場合、家賃8万円とすると384万円(8×48)の年金収入が必要です。
だからといって家賃を1年分前払いして、入居できても家賃負担が重く、毎月貯蓄を取り崩しながらの生活となります。
家賃を前払いしなかったとしても貯蓄を取り崩す生活には、変わりないのですが、貯蓄を崩すペースが早くなってしまいます。
地方自治体の賃貸住宅
各地方自治体には、賃貸住宅を運営する外郭団体があります。
ここでは大阪を例にとって説明します。
大阪の場合、大阪府住宅供給公社と大阪市すまい公社があります。
大阪府住宅供給公社
入居条件に年齢制限はありません。
しかし大阪府住宅供給公社の場合も、URと同様に収入条件は月収が家賃の4倍以上あることで、かつ保証人も月収が家賃の4倍以上なければなりません。
但し保証会社で、保証料を払うことで保証人は必要なくなります。
大阪市すまい公社
低い年金収入だけで、申し込むことができるのは、公募(抽選)により入居者を決める市営住宅以外には、ありません。
申込には、収入が一定の範囲内であること、市内に住民票があること、保証人があること、住宅に困窮していることなど、各募集区分ごとの条件があります。
公募(抽選)相当倍率は高いです。倍率が低い物件には、買い物や病院にいくのが不便な高齢者が住みにくい立地の場合もあります。
その他支援制度
一般財団法人 高齢者住宅財団が、連帯保証人となって高齢者が賃貸住宅の契約をする際、保証をする制度である家賃債務保証があります。
保証人のいない高齢者が家を借りやすく、家主の方は家賃を回収できない心配が無くなり貸しやすくするための制度です。
一般財団法人 高齢者住宅財団とは、高齢者等の住生活の向上と居住の安定を図る公的団体です。
民間の不動産屋
民間の不動産屋さんに、何件か電話をしてみました。
入居者が80歳を超える高齢者夫婦というと、すべての不動産屋さんは、大家さんと相談になりますとの回答でした。
もちろん、実際80歳を超える方でも、賃貸物件を借りることができた例もありますと言っていましたが、厳しいことは間違いなさそうです。
高齢者が賃貸物件を借りるとき気をつける点
高齢者が賃貸物件を借りるとき気をつける点を上げておきます。
- 息子・娘が近くに住んでいる
- 病院が近い
- 買物ができるスーパーが近い
- 階段を使う必要がない(エレベーターがある)
- 段差が少ない
- 踏切や危ない道路が近くにない
まとめ
80歳を超えた高齢者でもURの賃貸物件なら、お金があれば、借りられます。URに1年分の家賃を前払いすれば、保証人も家賃の48倍の収入も要りません。
年金収入だけで、貯蓄も少ない高齢者の選択肢は、家賃の安い市営住宅などに限られます。安い市営住宅は、抽選であり、かなり競争率が高いです。
収入が少ない、貯蓄の少ない高齢者は賃貸住宅を借りるのは、年齢の上昇とともに難しくなります。
現在50代の方が高齢者になったとき賃貸物件を借りるために今からやるべきことは以下の2つです。
- 年間収入が家賃の48倍になるよう、年金収入以外に収入を確保する
- 1年分の前払家賃とその後の家賃負担にも耐えられるよう貯蓄する
収入を確保するには、できるだけ長く仕事を続けるか、50代から高齢になってもできる副業をはじめ収入を確保するかです。
老後資金をある程度確保することが、賃貸物件を借りることを容易にします。
老後の住宅もお金次第です。
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