老後資金を貯めるために、資金の運用を考えると思います。資金運用には、リスクがつきものです。元本が保証されていない運用もありますので、慎重に行う必要があります。
むしろ資金を運用するより、リスクのない確実な運用は、現在ある借金を、返済することです。
借金を返済することで、支払うべき利息を削減できれば、それはその利息分、確実に運用できたと考えることもできます。
借金返済で一番簡単にできることは、クレジットカードのリボ払いを利用しているか確認し、リボ払いを利用しているなら、やめることです。
クレジットカードによっては、発行時から知らない内に、自動的にリボ払いになっているケースもありますので、必ず確認しましょう。
ではなぜ、クレジットカードのリボ払いをやめるべきなのか?詳しくみていきましょう。
Contents
リボ払いとは
リボ払いとは、利用の件数・金額に関係なく、毎月の支払額が一定になる支払い方法のことです。
クレジットカードの公式サイトなどには、リボ払いは毎月の支払いが一定だから、無理なく計画的に利用できる的な文言がかかれています。
リボ払いの金利手数料は、15~20%です。かなり高いです。
リボ払い、「Within方式」は元金が減らない
リボ払いには、「Within方式」と「Without方式」の2種類があります。
「Within方式」とは、毎月の支払額にリボ金利手数料を含める方式です。
また「Without方式」とは、毎月の支払額にリボ金利手数料を含めない方式です。
元金がなかなか減らないのは、「Within方式」です。リボ払いを利用されている方は、どちらの方式か確認しましょう。
「Within方式」を簡単な例で、見て行きましょう。
(例)リボ払いの元金が10万円で、毎月のリボ払いが1万円とします。
返済総額 | 元金 | 金利手数料 | 元金残高 | ||
---|---|---|---|---|---|
1月31日 | 100,000 | ||||
1 | 2月28日 | 10,000 | 8,849 | 1,151 | 91,151 |
2 | 3月31日 | 10,000 | 8,839 | 1,161 | 82,312 |
3 | 4月30日 | 10,000 | 8,985 | 1,015 | 73,327 |
4 | 5月31日 | 10,000 | 9,066 | 934 | 64,261 |
5 | 6月30日 | 10,000 | 9,208 | 792 | 55,053 |
6 | 7月31日 | 10,000 | 9,299 | 701 | 45,754 |
7 | 8月31日 | 10,000 | 9,417 | 583 | 36,337 |
8 | 9月30日 | 10,000 | 9,552 | 448 | 26,785 |
9 | 10月31日 | 10,000 | 9,659 | 341 | 17,126 |
10 | 11月30日 | 10,000 | 9,789 | 211 | 7,337 |
11 | 12月1日 | 7,340 | 7,337 | 3 | 0 |
107,340 | 100,000 | 7,340 |
8/31の返済額の内訳は、元金8,768円+リボ金利手数料1,232円=10,000円となります。
返済額が10,000円で固定されているので、元金がなかなか減らず、金利分に金利がかかる状態になっていきます。
「Without方式」の例も見ておきましょう。
返済総額 | 元金 | 金利手数料 | 元金残高 | ||
---|---|---|---|---|---|
1月31日 | 100,000 | ||||
1 | 2月28日 | 11,151 | 10,000 | 1,151 | 90,000 |
2 | 3月31日 | 11,147 | 10,000 | 1,147 | 80,000 |
3 | 4月30日 | 10,986 | 10,000 | 986 | 70,000 |
4 | 5月31日 | 10,892 | 10,000 | 892 | 60,000 |
5 | 6月30日 | 10,740 | 10,000 | 740 | 50,000 |
6 | 7月31日 | 10,637 | 10,000 | 637 | 40,000 |
7 | 8月31日 | 10,510 | 10,000 | 510 | 30,000 |
8 | 9月30日 | 10,370 | 10,000 | 370 | 20,000 |
9 | 10月31日 | 10,255 | 10,000 | 255 | 10,000 |
10 | 11月30日 | 10,123 | 10,000 | 123 | 0 |
合計 | 106,811 | 100,000 | 6,811 |
8/31の返済額は、元金10,000円+リボ金利手数料1,232円=11,232円となります。毎月の返済額は「Within方式」と比べ、増えますが元金は、減って行きます。
上記の例では、借入額が10万円でしたが、借入額が100万円だった場合「Within方式」では、元金がなかなか減らないので、返済がなかなか進まず利息を払い続けることになります。
リボ払い「Within方式」は、複利計算
リボ払い「Within方式」は、複利計算で、借入残高が増えて行きます。
複利とは、元本+金利に対して金利がかかるしくみ(計算)で、運用の際に使われます。
例えば金利15%で10万円をリボ払い「Within方式」で借り、返済しなかったとすると約5年で倍の20万円となります。
元本が2倍になる年数を簡易的に計算する方法(72の法則)
元本が2倍になる年数=72÷利率
今回の場合72÷15≒5で
全く返済しなければ、5年で倍になってしまいます。
リボ払い(Within方式)は、毎月の支払は一定額に抑えることができますが、支払総額が逆に増えていくので、逆複利と言われています。
リボ払いを進めるカード会社の説明には、毎月の返済計画が立てやすいと書いてあります。確かに、毎月いくら払えばよいかは分かります。しかし、いつのまにか借入残高が積み上がり、延々返済が続く、返済地獄に陥ってしまうのです。
リボ払いは、絶対にやめるべきです。
複利に対して単利は、元本にだけに金利がかかるしくみ(計算)です。
「Without方式」は、単利です。
リボ払いに勝手になっていた体験談
以前、妻がある会社のクレジットカードを作ったのです。あるアイドルの舞台のチケットを取得するために、カード枠(カード会社の持っているチケットの枠)を使って申込をするためでした。
年会費は永年無料と妻が言っていたので、何気なくそのカード名でネット検索してみると、なんと支払額5,000円以上で勝手にリボ払いになることがわかりました。
チケットは1枚1万円ほどでしたので、チケットを購入すればすぐにリボ払いになるところでした。妻に話すと、リボ払いにするには、リボ払いに申し込んではじめて、リボ払いになると思い込んでいたようです。リボ払いに勝手になることに驚いていました。
リボ払いの解除は、ネットからはできず。電話をかけオペレーターに、その旨話さないと、リボ払いの解除はできません。支払金額を支払限度額にするよう依頼することで、リボ払いの解除をすることができました。
クレジットカードを作るときは、十分に注意が必要です。
リボ払いをやめる方法
手持ちの資金で、一括または分割返済へ切り替える
手持ちの資金があれば、リボ払いの借入を一括返済するか、分割返済しましょう。
リボ払いから、一括返済あるいは分割返済への切り替えは、多くの場合、電話で連絡すれば、可能です。
毎月の返済額を増額する
毎月の返済額を、増額することで、元金の返済を増やすことができます。リボ払いの金利手数料部分だけを支払っていては、いつまでたっても元金は減りません。
金利が低いカードローンで返済する
消費者金融の利用歴が無い方なら、銀行やネット銀行のカードローンであれば、リボ払いより低金利で借入も可能です。その場合は、低金利のカードローンで、リボ払いの借入を返済しましょう。
間違っても余裕ができたと、リボ払いの返済以外にカードローンを利用しないことです。
まとめ:クレジットカードでの買い物は、一括か分割払いで
クレジットカードでの買い物は、借金して買うのと同じです。一括か分割払いを選択しましょう。間違ってもリボ払いにしないようにしましょう。
リボ払いにすると、支払総額が膨らみ、借金がなかなか減りません。
これから、老後資金を貯めて行かなくてはいけない50代は、まずは借金を減らすことからはじめましょう。
借金返済に勝る運用はありません。
今回は、クレジットカードのリボ払いについて説明しました。
一見便利そうに見えるものには、思わぬ落とし穴があります。わたしは、中小企業の経理として銀行の融資担当者と長くつきあってきました。
正直なところ、これまで銀行から提案された投資や商品などは、銀行が手数料を取るだけで、リスクはすべてこちら持ちのものでした。
もちろん銀行は、リスクについて説明してくれます。
「こういう場合、こういうリスクはありますが、ほとんど起こりません。」という言葉を鵜呑みにすると、大変なリスクを背負うことになります。
クレジットカードにしても、銀行にしても、必ずしも、お客の利益優先ではなく、会社の利益が優先であることを、理解しておきましょう。
メリットがあれば、それ相応のリスクがあることを理解し、自分で判断できる力をつけることが大事です。
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